株式投資をはじめる際、証券会社を選んだら、次は口座を開設しましょう。
口座開設の際に、その証券会社内のいくつかの口座から一つ選択しなければなりません。
そしてその口座は、おおまかには特定口座と一般口座の2種類があります。
さらに、特定口座には、源泉徴収があるものと、ないものがあります。
安易に選んでしまうと、払わなくてもいい税金を払うことになったり、会社に給与外の所得があることが知られたり、確定申告が面倒になったりします。
今回はこのような口座についてのメリットとデメリットを知り、どの口座を選んだらいいかの悩みを解決できたらなと思います。
特定口座と一般口座の違い
口座開設時にどの口座を選ぶかは、税金の納税や還付に大きく影響するので、かなり大事な項目となっています。
株などで利益を出して所得を得たなら、税金を納めなくてはなりません。
毎年、株取引で利益を得たら確定申告をして、所得税と住民税をいくら払うかを税務署に申告しなくてはなりません。
口座開設時に一般口座と源泉徴収あり特定口座と源泉徴収なし特定口座のうち、どれを選ぶかによって、確定申告にかかる手間や納税額等に大きく影響してきます。
それではこの3つの口座の違いをみていきましょう。
はたしてどの口座がいいのか?
証券会社を決めたら実際に口座開設の手続きに入りますが、その際には口座の種類を3つの中から選ぶ必要があります。
申込画面で選択することになりますが、画面上には説明がほとんどないので、どれを選んだらいいか迷うと思います。
特定口座には源泉徴収あり・なしの2種類があり、証券会社が株式投資の利益・損を計算して、確定申告に必要な「年間取引報告書」という書類を作ってくれます。
一般口座は、自分でこの書類を自分で作る必要がある口座です。
特定口座(源泉徴収あり)はとてもラク!!
まず、「源泉徴収とはなんぞや?」という方に説明します。
源泉徴収とは、所得税を給与や報酬等から控除することをいいます。
仕事である程度稼いでるのであれば、毎月の給与から所得税が引かれていますよね?「天引き」とも呼ばれるアレです。
源泉徴収は、確定申告(年末調整)の前にとりあえず税金を預かりますよっていうやつで、確定申告時に源泉徴収された所得税が多すぎたら確定申告後に還付されますし、逆に少なかったら追加徴収されます。
特定口座は、金融機関が年間の株や投資信託の利益・損を計算して、「年間取引報告書」という書類を作ってくれる口座です。
そして特定口座(源泉徴収あり)は、株式投資で利益が出る度に、証券会社が税金を差し引いてくれ、確定申告が不要になります。
株式投資初心者に優しい源泉徴収あり
最大のメリットは、自分で確定申告をする必要がないからとてもラクであることです。
すべて株の売却時に源泉徴収をしてくれています。
また、売却損が出た場合は、源泉徴収で天引きされた税金から、税金が還付されます。
とにかく楽です。確定申告の憂鬱を味わわなくて済むのでいいですね。
主婦や学生に優しい源泉徴収あり
源泉徴収あり特定口座なら確定申告不要なので、夫の扶養に入っている主婦、親の扶養に入っている学生ががいくら利益を上げても扶養から外れません。
扶養に入っている人は源泉徴収あり特定口座で決定でしょう・・・!
配当金と売却損の損益通算が確定申告なしで完了
上場株式配当等受領委任契約が結べることもメリットです。この契約を結んでいると、口座内で配当金と売却損を損益通算して、税金を減らすことができます。
本来、売却損と配当金を損益通算するには、確定申告が必要ですが、上場株式配当等受領委任契約を結んでいれば、確定申告しなくても損益通算が自動でできます。
契約方法は証券会社によって異なりますので、気になる方は利用されている証券会社のホームページをご確認下さい。
しかし、利益が20万円以下であれば税金を払いすぎることに・・・
確定申告をせずに済むなどとても便利な源泉徴収あり特定口座ですが、「払う必要がない税金を払ってしまう」という注意点もあります。実は、こんな条件を満たしていれば譲渡所得にかかる税金をおさめなくてもいいというルールがあるんです。
- 1ヶ所から給与を受けている給与所得者
- 給与収入2,000万円以下
- 給与・退職所得以外の所得(株の譲渡所得含む)が年間20万円以下
たとえば、上記に当てはまる人が源泉徴収ありの特定口座を選んでいて、年間の利益が10萬円だった場合、税金を払う必要はないのに、証券会社が自動で譲渡所得10万円×20.315%(20,315円)を納税してしまいます。
しかも、税金の払い戻しはしてもらえません。
配当金や株主優待狙いがメインな人や、小額投資をして売却益が20万円を超えない人には、源泉徴収あり特定口座は向かないのかもしれません。
源泉徴収なし特定口座は利益が20万円以下なら納税不要!
特定口座(源泉徴収なし)は、源泉徴収はしてくれないので自分で確定申告しなくてはいけません。
とはいえ、「年間取引報告書」は証券会社が作ってくれるので、簡単に確定申告ができます。簡易申告口座とも呼ばれます。
源泉徴収あり口座と違い、利益が20万円以下の会社員は余計な税金を払うことがないのがメリットです。
利益が20万円以下の場合は確定申告は不要
源泉徴収なしの特定口座では、20万円を超える利益が出たら確定申告が必要ですが、利益が20万円以下の場合は確定申告が不要です。支払わなくてもいい税金を払うことがありません。
配当金や株主優待狙いがメインな人、少額で運用している人、「最初は利益がでるか自信がない」という人には、源泉徴収なしの特定口座をおすすめします。
ただし申告しなくていいのは所得税だけで、20万円以下でも住民税の申告と納税は必要です。確定申告をせず、住民税のみを申告する場合は、自治体で申告を行います。(源泉徴収あり特定口座であれば、源泉徴収の際に住民税も控除されているので、申告不要です。
源泉徴収されないので、源泉徴収されない分資金繰りができる
源泉徴収ありだと、利益確定するたびに利益分のうち2割ほど税金が取られます。
しかし、源泉徴収なしだと、利益確定時には税金を取られることはないので、その分再投資に回すことができます。早く多く稼ぎたい時は源泉徴収ありにするよりも効率的に投資ができるかもしれませんね。
利益が20万円を超えた時には自分で確定申告しないといけない
源泉徴収なし特定口座で譲渡所得が20万円を超えると、自分で確定申告しないといけません。
確定申告をする場合、自営業の人や、夫・親の扶養に入っている主婦・学生は注意が必要です。
自営業の方は国民健康保険料が値上がりしたり、扶養に入っている人は扶養から外れるケースがあります。
また、譲渡所得が多い場合は確定申告後には税金を納めることになるので、納税する税金を準備する必要があります。
毎年20万以内に利益を調整する自信がある人もしくは、デメリットを享受してでも効率よく資金繰りをしたい人は源泉徴収なしで口座開設をするといいと思います。
株取引がメインならメリット一切なしの一般口座
一応、一般口座について説明します。
一般口座だと、金融機関が年間取引報告書を証券会社が作ってくれないので、自分で年間取引報告書を作って確定申告しないといけません。取引が多ければ多いほど作業量は多くなります。
一般口座にも、特定口座(源泉徴収なし)と同じように、譲渡所得が20万円以下なら確定申告は不要というメリットはあります。
しかし、それであれば源泉徴収なし特定口座を選べばいい話ですし、わざわざ時間を割いて自分で年間取引報告書を作るのも大変でしょう。もし、年間取引報告書に記述間違いがあれば作り直す手間ができますし、かなりめんどくさいことになりそうだと思います。そう考えると、やはり確定申告が簡単な特定口座にしておくべきでしょう。
ちなみに、国債や社債の売買は、特定口座ではできず、一般口座のみで売買が可能になります。
債券を売買するなら必要ですが、株取引をする口座をあえて一般口座にするメリットはないといえるでしょう。
源泉徴収なし特定口座から源泉徴収あり特定口座への変更方法
もし自分の証券口座が源泉徴収なし特定口座で、源泉徴収ありに切り替えたい!という場合は、さっそく源泉徴収あり口座に変更手続きをしましょう。
かくいう私は、口座開設当初は、株の勉強をと思って利益のことは考えていなくて、利益が出ても大したことないだろと思っていました。なので、源泉徴収なし特定口座で口座開設をしたのですが・・・。
ライザップとリミックスが大化けして利益がすごいことに・・・。全て利確したら20万円なんて軽く超えてしまいます。
こうなるなら源泉徴収ありでよかったー!!と思っています。確定申告面倒くさいし、申告することで税金を納めなきゃならなくなるのがつらくてつらくて・・・。
※脱税はダメです!!必要な納税は義務です。
来年からはこんなこと考えなくていいように、来年から源泉徴収あり特定口座への変更申請を出しました。
ちなみに金融機関によって方法は違うと思いますが、一般的には下記の通りで変更手続きができます。
WEB上で行う場合 | 手続き画面で、希望の源泉徴収区分を選び、本人確認書類をアップロードして完了 |
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WEB画面から届出書をダウンロードする場合 | 特定口座開設届出書を印刷し、本人確認書類を同封して金融機関に返送 |
届出書を請求する場合 | 特定口座開設届出書の郵送をWEBまたは電話で請求し、本人確認書類を同封して金融機関に返送 |
おおよそ、1~2週間ほどで変更手続きは完了されるでしょう。
ただし、以下の条件の場合は、すぐに変更手続きはできないので注意しましょう。
- 変更申請する年に、既に最初の売却や配当等の受入をしていた場合
この場合は、今年度の変更手続きは出来ません。ただし、来年度からの変更手続きは可能です。
特定口座と一般口座のメリット・デメリットまとめ
特定口座と一般口座のメリット・デメリットと利用に適する人をまとめました。
特徴 | 特定口座(源泉徴収あり) |
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メリット |
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デメリット |
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利用に適する人 |
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※一般口座や他の証券会社の特定口座の譲渡損益と損益通算したい場合、損失繰越したい場合は、確定申告が必要です。その場合は譲渡所得が所得額に合計され、国民健康保険料等に影響します。
特徴 | 特定口座(源泉徴収なし) |
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メリット |
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デメリット |
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利用に適する人 |
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特徴 | 一般口座 |
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メリット |
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デメリット |
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利用に適する人 |
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特定口座では取り扱っていない商品を買いたい場合は、株取引する口座とは切り分けて一般口座を作った方がいいのかもしれませんね。
株取引しかしないぞ!ってかたは一般口座はスルーして大丈夫です。源泉徴収ありなしで、自分に合った方を選択するとよいです。
また、私のようにはじめは利益を出す自信がなくて源泉徴収なしを選んだけど、やっぱり源泉徴収ありがいい!と思ったら忘れないうちに変更申請を届け出ましょう。今年は無理でも来年から適用されます。
株取引での銘柄選びと同様に大事な口座選び、後悔のないように選びましょう!