先日、心無い女性から盗撮冤罪にかけられそうになったことをきっかけに、盗撮についての罪の重さなどを調べるようになりました。
盗撮は、痴漢に次いで身近に起こり得る犯罪の一つです。身近に起こりやすいから問題だからこそ、盗撮を行なう輩は「バレなきゃ問題ないだろ」と安易に考えていますし、自意識の強い人からしたら、ちょっとしたことで「盗撮では?」と敏感になり、冤罪もあり得る犯罪です。
今やスマホの普及で、盗撮の検挙件数が増えている傾向があります。一昔前は、町中でカメラを持っている人も限られていて、盗撮用の隠しカメラなどもあったようです。しかし、今は1人1台カメラを持っていることになります。しかも、無音カメラやスマホに細工を施すなどで簡単にシャッター音を消せてしまいます。(無音カメラが悪いわけではない)
誰にでも簡単に出来てしまうような犯罪ですし、罪を犯すと逮捕されます。その結果、今後の生活にも影響を及ぼします。簡単に出来て、罪の意識も薄いことから、再犯も多い犯罪のうちの一つです。
さて、何をしたら盗撮で逮捕されるのか。盗撮で逮捕されたらどうなるのか。また、盗撮で冤罪被害にあった時のの対処法などを解説します。
▼目次
何をしたら盗撮で逮捕されるのか
それでは、何をしたら盗撮で逮捕されのでしょうか。盗撮にも様々な種類があります。駅で階段の下から女性のスカートの中を撮ったり、女性更衣室にカメラを設置して着替えを撮ることが盗撮とイメージがあります。
しかし、上映中の映画や美術品、芸能人や見知らぬ人を勝手に撮影して、ネット上に上げる行為も盗撮にあたるのではないでしょうか。
実のところ、「盗撮罪」といったものが無いため、はっきりとした定義がないことが現状です。しかし、おおまかな要件としては、以下のようになります。
相手の許可無く撮る
そもそも相手の許可があれば、盗撮とは言えないでしょう。
相手が隠しているもの撮影する
盗撮か否かは、相手が隠しているものを撮影する。ということが大きく影響する点です。例えば、海水浴場で水着の女性を撮っても、盗撮とはされにくいでしょう(それでも通報される世の中ですが・・・)。盗撮は、スカートの中や、更衣室などの通常隠したいことを勝手に取っているから成立します。
映画館や美術館も、映像や美術品を観覧してもらうことを商売としていますので、「館内撮影禁止」と、撮影を許可していない物を許可無く撮影した際に盗撮となり得ます。
▲目次にもどる
盗撮で罰せられる罪
犯罪の定義がはっきりしていない盗撮ですが、一体何罪で逮捕されてしまうのでしょうか。盗撮の状況や、手法で罪名が変わってきます。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、各都道府県によって違いますが、東京都を例に上げると「公共の場所又は公共の乗り物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影した者であるときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」
これは、いわゆる駅や電車の中でスカートの中などの画像を撮影した場合に当てはまります。
迷惑防止条例は各都道府県で違いますので、一概には言えませんが、東京都の場合「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処されます。
軽犯罪法違反
公共の場所以外(住居・浴室・脱衣所・便所など)での盗撮行為は、軽犯罪法の覗き見の罪が当てはまります。普段衣服を着用しないであろう場所を覗き見る行為が罪に問われます。
個人宅内を無断で盗撮したり、風俗店内での行為をこっそりと撮影することがこちらに当たります。場合によっては、建造物等の侵入罪が問われる可能性もあります。
軽犯罪法違反は「拘留・科料」の刑罰が定められています。拘留は、1日以上30日未満拘束されることで、科料は、1,000円以上10,000円未満の罰金刑です。一方、建造物等侵入罪に問われると「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が処されます。
知的財産権侵害
具体的に言うと、上映中の映画を盗撮する行為を指します。こちらは、映画の盗撮の防止に関する法律に違反することになります。ノーモア映画泥棒!
映画の盗撮の防止に関する法律に違反すると、著作権の侵害に当てはまり、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処される可能性が出ていきます。
民事的な問題
主に著名人などが対象になりますが、これは相手を勝手に撮影すること自体は犯罪とはなりません。しかし、その画像を無断でネット上に掲載したり、商用目的に使うことで、名誉毀損や肖像権侵害などの民事的な問題に発展する可能性があります。
▲目次にもどる
盗撮で逮捕された後の社会的制裁
実名報道の問題
逮捕されると、実名報道をされる可能性も出てきます。こちらも警察などのさじ加減にはよりますが、正直なところ一般の方が盗撮で逮捕されて実名報道される可能性も低いとは言えます。
教師や議員などの社会的地位のある人物の逮捕や有名人の逮捕ではニュース性もありますので、実名報道の可能性は高まります。それでも不安な方は、実名報道を控える意見書を提出することは可能です。(意見書を提出したからと言って確実に実名報道されなくなるわけではありません。厳しい世の中ですから。)
会社・学校との問題
盗撮で逮捕された事実が会社や学校に発覚してしまうと、解雇や退学などの処分を受ける可能性も出てきます。いわゆる”社会的に抹殺される”ということです。
盗撮での逮捕を理由に会社が解雇するか否かは、正直その会社の就業規則などによるさじ加減にもなりますが。逮捕後迅速に対応し会社に発覚する前に事件を解決させたり、会社に反省文や意見書を提出することで、処分が軽減・回避されることもあります。
▲目次にもどる
盗撮で逮捕されたらどうなるのか
それでは、盗撮はどのような経緯で発覚、逮捕されてしまうのでしょうか。こちらでは、盗撮で逮捕されるまでの経緯についてご説明をいたします。
盗撮は現行犯逮捕がほとんど
盗撮の多くは痴漢と同じく現行犯逮捕です。そもそも盗撮行為がその場で被害者や第三者に発覚しなければ事件として発展することはありません。
その一方で、盗撮を行なう人は一度ばれなかったからと言って、繰り返し盗撮を行なってしまうような、一種の依存症のような状態に陥り、「逮捕されるまで盗撮を止められない」と言うような人もいます。
また、現行犯逮捕が多いゆえに、示談金目的に女性と共謀し、高額な示談金を請求する「盗撮ハンター」なる卑劣な恐喝グループも存在しています。詳しくは「盗撮ハンターや美人局の存在」に記載しております。
盗撮での後日逮捕もあり得る
盗撮での逮捕は現行犯逮捕がほとんどですが、後日逮捕がゼロであるとは言い切れません。例えば、盗撮したその場は逃げ切れたかもしれませんが、逃げ出す様子が監視カメラに写っていたりすれば、後日逮捕の可能性もあります。
盗撮をしてしまい、その後逮捕されるかが不安な方は自首をすることも考えてください。自首をすれば、警察も反省していると判断してくることも多く、自首しに行ってすぐに逮捕ということも少ないでしょう。
それでも不安な方は、自首することも含めて弁護士に相談するようにして下さい。
▲目次にもどる
盗撮で逮捕された後の流れ
もし、盗撮をしてしまい、逮捕されてしまった後の流れを解説します。
盗撮で逮捕されてもすぐに釈放されることがある
盗撮で逮捕されて、本人も認めている場合でも、証拠となる画像が残っていなかった場合(いわゆる未遂)その他盗撮行為を証明する物品がない場合は、厳重注意を受けて、微罪処分で帰されることがほとんどです。
だからといって、盗撮がバレた瞬間に、証拠を隠そうと急いで画像を削除しようとしたこともバレてしまうと、捜査官からの印象が余計悪くなります(なお、削除した画像は復旧可能ですから小細工は通じません。)。
盗撮での逮捕後の勾留
微罪処分以外の場合、その後数日間刑務施設で拘束されることになります。逮捕から48時間以内に警察から検察へと身柄が渡され、捜査が進められます。この間の期間を勾留期間と言い、逮捕から最大23日間に及びます。
数日間勾留されるということは、職場や学校は無断欠勤(欠席)ということになります。仮に無実だとしても社会的制裁を受けているのに変わりはありませんね。
盗撮での逮捕から起訴まで
盗撮での逮捕から、最大でも23日以内に検察は起訴をしなくてなりません。この、起訴されるか、されないか(不起訴)が重要で、不起訴の場合は、刑事罰を受けることなく釈放されます。起訴をされた場合は、裁判で有罪無罪を判断されることになりますが、日本の場合、起訴された場合はほぼ有罪となり、何かしらの刑罰を受けることになります。
一般的に盗撮での逮捕は、初犯や前科一犯の場合で被害者との示談が成立していた場合は、不起訴処分になることがほとんどです。示談が完了していない場合、罰金刑がほとんどになっています。
実刑と罰金刑の分かれ目
起訴後の裁判でも、大きな分かれ目があります。それは、身柄が釈放されて、罰金を支払うことになる罰金刑か、刑務所で身柄を拘束され続ける懲役刑かです。ただ、同種前科が複数あるような悪質なケースでない場合、盗撮行為で起訴されてもいきなり実刑判決を受ける可能性は低く、多くは執行猶予が付くと思われます。もちろん前科があったり悪質な犯行であれば実刑判決を受けることになるでしょう。
すぐに釈放されても・・・
釈放されるには必ず身元引受人がいないといけません。身元引受人は、主に家族か職場の上司になりますが、少なくとも身元引受人には「盗撮をした」という事実は知られることになります。
また、盗撮をした・していないにかかわらず、逮捕されてしまった人間に対しては対応は冷ややかになってしまうのが事実です。会社や家庭での立場は悪くなるだけでなく、既婚の方は、場合によって、奥さんが離婚を考えるきっかけにもなってしまうでしょう。
盗撮ハンターや美人局の存在
また、最近では盗撮を行なう人物を見つけては、示談金目的に女性と共謀し、法外な示談金を提示してくる「盗撮ハンター」なるものも登場しています。確かに、盗撮を行なった事実があると、事態を大きくしたくないことから、示談にも応じてしまいそうにもなります。
しかし、100万円を超える示談金を請求してきたり、慣れたような物言いで消費者金融に連れていこうとする場合は盗撮ハンターの可能性が高いです。示談には応じず、その後の刑事弁護を的確に行ったほうがこちらとしての被害も少ないでしょう。
あと、ストレス発散や示談金目的として、盗撮の冤罪にかけてくる輩がいます。また、不運な偶然が重なって盗撮されたと勘違いした女性が盗撮魔だと訴えてくるケースもあります。
その場合は、完全に盗撮をしたという事実はないので、相手の要求に乗らず、自分の意見をしっかりと押し通しましょう。それでも相手がごねるようであれば、自分から警察を呼ぶなりして助けを求めることが大事です。
盗撮冤罪にかけられたときの対処法
盗撮にも冤罪(やっていないのに捕まる)はあります。しかし盗撮冤罪は、痴漢冤罪に比べると冤罪が少なくなっています。大きく違うことはやはり、盗撮には物的証拠がある事が大きな基準になるからです。
冷静に対処する
そこで、盗撮で捕まりそうになっても、冷静に対処して下さい。仮に逮捕されたとしても、物的証拠がなければ、微罪処分で当日か翌日に帰さえることがほとんどでしょう。
急に加害者にされて、動揺してしまうかもしれませんが、証拠が無ければことは大きくなりません。決して感情的になったり、やってもいないのに簡単に謝ったりせず、冷静に対処しましょう。
まとめ
いかがでしょうか。盗撮は罪も軽く、事態も大きくはなりにくい犯罪です。
しかし、盗撮を楽しむ卑劣な人間、盗撮の冤罪をかけてくる心無い人間がいることは事実です。
自分が盗撮の加害者・盗撮冤罪の被害者にならないよう、気をつけて生きていかないといけませんね。
▲目次にもどる